そこで重要な意味を持つのが「ソーシャルリスニング」です。今回はソーシャルリスニングとは何かをまとめ、集めたデータをマーケティング戦略に結びつけるための方法をご紹介します。
ソーシャルリスニングは、消費者中心のマーケティングをおこなうのに役立つ
ソーシャルリスニングはソーシャルメディアから消費者の生の声を収集、分析し、マーケティングに役立てる手法を指します。
ソーシャルリスニングは、消費者中心のマーケティングをおこなうのに役立つ事例:SNSを使ってユーザーのリアルな声を収集し、キャンペーンの精度がアップソーシャルリスニングが重視されている2つの理由理由1:消費者が自身で情報を発信できるようになり、その情報を参考にする人も増えているため理由2:消費者理解にスピードが求められるようになっているため効果的なソーシャルリスニングをおこなうための2つのコツ1.明確な目的と戦略を構築する2.適切なリサーチ対象の決定ソーシャルリスニングで分かる4つのこと1.ブランドイメージ2.消費者ニーズ3.プロモーション施策の効果4.業界動向ソーシャルリスニングに活用できるツール5選buffer風評被害対策・クチコミ分析・傾聴 – Social InsightSimply MeasuredFacebookインサイトトレンド・ニーズ分析に役立つGoogleトレンドとYahoo!リアルタイム検索まとめ
会社、ブランド、商品に対する評価、評判を共有、可視化して理解や改善に活かし、消費者中心のマーケティング戦略につなげるのが目的です。
事例:SNSを使ってユーザーのリアルな声を収集し、キャンペーンの精度がアップ
ダイエットに関する口コミをSNSで収集したところ、以下のようなことが分かりました。 ・ダイエットに関する口コミは毎年、年初、夏前、10月以降に多くなる ・関連語から話題にしている内容の傾向を分析。年初は食べ物の話をし、夏前はダイエット最中の話題をしている、などが分かる。 上記のようなことを把握したことで、年初には食べ物系のダイエットの訴求をしたり、夏前には運動とからめて商品の訴求をしたりできます。
ソーシャルリスニングが重視されている2つの理由
理由1:消費者が自身で情報を発信できるようになり、その情報を参考にする人も増えているため
SNSが普及するまで情報発信は企業側からがほとんどで、企業が発信する情報は重要な価値を持っていました。これまでは、企業>消費者という力関係でした。 しかし、SNSアカウントを作るだけで世界に向けて自分の意見を発信できるようになった現在では、企業の情報だけを参考にしていた消費者は、他の消費者の情報も企業が発信する情報と同じように参考にするようになっています。 消費者が自由に自分の意見を発信できるようになっている中で、企業側には消費者の発信する情報を取り入れる必要性が生まれ、企業と消費者の力関係は対等になったといえます。 参考:企業と消費者は対等な時代に。消費者発信の情報に目を向けよう。|株式会社オプト
理由2:消費者理解にスピードが求められるようになっているため
これまで消費者の声を聴く方法として、インターネット調査や対面のインタビュー調査が一般的でした。事前に設問やストーリーが用意されたうえで回答してもらうので、質問にバイアスがかかり、誘導的な回答が含まれる場合もあります。得た回答をマーケターが判断して施策に反映させていくというプロセスでした。 しかし、SNSの普及によって、消費者の本音の反応を、ネット上での対マーケターもしくは消費者同士での自然なやり取りの中でリアルタイムに捉えて分析し、すぐに行動に移すという、従来の方法と比べてスピード感がある効果的な手法がでてきました。 これが今回紹介するソーシャルリスニングです。
効果的なソーシャルリスニングをおこなうための2つのコツ
1.明確な目的と戦略を構築する
ソーシャルリスニングをおこなう前に、ビジネスのゴールを見据えた目標やKPIの設定をしなければなりません。 マーケティングで成果を出すのに重要なのは、何よりもまず「誰にどんな価値を提供するか」という戦略を立てることです。 戦略を立てるときは、「4P」が役に立ちます。 ・人々は私たちの商品にどんな改善を求めているか?(プロダクト…商品) ・人々は価格についてどう感じているか?(プライス…価格) ・私たちは、広告の中で商品をどのようにポジショニングするべきか?(プロモーション…販売促進) ・売上増加のためには、どこで商品を入手できるようにするべきか?(プレイス…流通) 参考:事例で解説!マーケティングミックス(4P)とは
2.適切なリサーチ対象の決定
単に人気がある、使いやすいなどの理由で情報源を選ぶのは危険です。分析に役立つ、質の高い情報かどうかを考えて決定しなければなりません。 リサーチ対象を決めるポイントは、その情報源に興味のある情報が十分に含まれ(論点性)、無関係の情報が少ないこと(集中性)や、その情報源がタイムリー(現在性)で、信頼できること(権威性)です。 ソーシャルリスニングの領域は目的に応じて、下記の領域を別々に、あるいは組み合わせて活用します。 ・ブランドの領域にある情報源:オウンド・メディア、企業公式HP、企業のTwitterアカウント、Facebookアカウント、顧客サービスログなど ・消費者の領域にある情報源:個人ブログ、掲示板、ランキングやレビューサイト、Q&Aサイト、Twitterでのつぶやき、YouTubeなどのメディア共有サイトなど 参考:リッスン・ファースト! ソーシャルリスニングの教科書 著:Stephen D.Rappaport|amazon
ソーシャルリスニングで分かる4つのこと
1.ブランドイメージ
ソーシャルリスニングは、消費者の本音を得やすく手軽に調査ができ、消費者が何に興味を持っているのか、商品やサービスの何に価値を感じているのか、どのような場面で利用しているのかという消費者視点に立てます。
2.消費者ニーズ
企業のお問い合わせ窓口に寄せられる意見は一部の問題意識を持った人のみからですが、SNSでは、その時の気分で気軽に投稿がなされています。ポジティブな内容の投稿からは強みを活かしてプロモーション戦略に組み込んだり、ネガティブな内容の投稿からは問題点を発見し改善につなげたりできます。 参考:消費者インサイトとは?3つの活用事例と今すぐできる調査方法を解説
3.プロモーション施策の効果
ソーシャルリスニングでは、リアルタイムでタイムリーな消費者からの反応を得て、自社の広告やPR施策の反応の良し悪しの大きさを測定できます。人々の本音がリアルに把握できるので、迅速に戦略を構築できます。 また、ソーシャルリスニングで抽出したユーザーのデータを利用してネット広告にも活用できます。リスティング広告のキーワードの最適化や、ディスプレイ広告のクリエイティブやランディングページの表現など、企業の広告戦略に幅広く応用できます。 参考:ネット広告の種類全37種 課題別効果の出る手法一覧 参考:リスティング広告とは|今更聞けないリスティング広告の基礎
4.業界動向
商品のトレンドや景気動向を把握できるので、未来を予測し需要を取り込み、商品開発や改善に活かせます。カテゴリに関する会話などを手掛かりに、潜在的な新規市場の開拓も可能になります。
ソーシャルリスニングに活用できるツール5選
検索エンジンに次いでWebマーケティング手法として重要なSNS。細かくターゲティングをした情報の配信、消費者との良好な関係の構築などに活用されます。 以下では、アカウントの分析や投稿の管理にも可能なSNSマーケティングに役立つソーシャルリスニングのツールを5つ紹介します。
buffer
分析対象メディア
Twitter、Facebook、Google+、Instagram、Pinterest、LinkedIn
活用例
例えばTwitterと連携をすると、日々のツイートの中で最も ・いいね!がついた投稿 ・返信がきた投稿 ・クリックされた投稿 などが分かります。また、その逆に人気のない投稿も一目で分かります。
人気のある投稿の内容、投稿する時間、逆に人気のない投稿がどんなものか見極めるのに役立ちます。投稿に対する分析が充実しているほか、手順が分かりやすく直感的に操作できる点が強みです。 LISKULのTwitterアカウントでは、以前以下のような検証をしたことがあります。 ・文字数の検証 100文字以内のツイートがもっとも反応率がいい。 ・日時の検証 平日と休日では、平日のツイートの方がクリック率よく、時間帯を比較してみると13:00(昼食時)、17:00(通勤時)にクリックが多い。 この検証方法などの詳しい内容は以下の記事に記載してあるので、自社アカウントを効率よく運用したいという方は参考にしてみてください。 参考:TwitterTwitter活用の成果が上がる方法7選【データ解説】
風評被害対策・クチコミ分析・傾聴 – Social Insight
分析対象メディア
Twitter、Facebook、Google+、mixi、Instagram、Pinterest、YouTube、LINE公式アカウントなど数多くのソーシャルメディアに対応している点が強み。
活用例
自分のページのファン層が分かります。LISKULにいいね!をしている人の8割は男性で、平均年齢は35歳。Googleアナリティクスではユーザーの6割以上が男性と出ますが、Facebookでは8割以上が男性という違いがありました。 なので、Facebookに投稿するときは、たとえば画像は女性的なかわいらしいものよりもビジネスマン向けのものを選ぶなどの工夫ができます。 LISKULをいいね!している人が他にどんなページを見ているのかが分かります。 LISKULをいいね!している方は動画マーケティングやスタートアップ向けのページもいいね!していて、最新のWebマーケティングの手法やビジネスで役立つノウハウなども情報収集しているようです。 このようにファンが関心のあるコンテンツを研究して、自社メディアに活かせます。
Simply Measured
http://simplymeasured.com/free-social-media-tools/#sm.001s78lbs17o6d8ktr81blbpq2e2u
分析対象メディア
Twitter、Facebook、YouTube、Twitter、Google+など
特徴的な機能
FacebookのファンページのURLを入力すると、ファン数の推移、ウォール内コメント数・Like数、エンゲージが高かった投稿タイプなどが出力できる。CSVやイメージによるデータ抽出も可能です。 有料版もありますがこれから始めようとする人は、無料版から始めてみましょう。
Facebookインサイト
Facebookページのインサイトから、投稿に対する反応(いいね!やリンククリックなど)の変動、ページへのアクセスの流入源などのデータを抽出できます。
活用例
ファンのオンラインの時間帯が分かります。LISKULのファンは8:00、11:00、16:00にログインをしている人が多いことが分かります。
自社のファンがオンラインの時間帯が分かれば、その時間帯に投稿することでより多くの人に見てもらえる確率が高くなります。 また、投稿ごとにクリック数やリーチ数が分かります。 なので、LISKULでは同じ内容の投稿でもアイキャッチの画像を変えた場合にクリック数が伸びるかどうか、朝と夕方に投稿するのではどちらが多くの人に見てもらえるかという検証に活用しています。
トレンド・ニーズ分析に役立つGoogleトレンドとYahoo!リアルタイム検索
Googleトレンド
検索エンジン「Google」上で、ある単語がどれだけ検索されたかを調査できます。「あるキーワードが検索されている」という状態は「そのキーワードに対して、人々が興味を示している」と言えます。つまり「いつ、どの地域の人が、どの期間、そのキーワードに対して興味を持っていたか」が分かります。 参考:Google トレンド
Yahoo!リアルタイム検索
検索エンジン「Yahoo!」上で、Twitterに投稿されたツイートやFacebookの投稿を検索できます。「感度分析」も備わっているので、膨大なユーザーの反応から感情的にポジティブなのかネガティブなのかも分かります。新しい商品やサービスに対するユーザーの反応をリアルタイムに知れます。 参考:Yahoo!リアルタイム検索
まとめ
ソーシャルリスニングは決して難しい手法ではありません。簡単に実践でき、消費者の生の声を知れる貴重な機会になるのでぜひ一度試してみてください。 ソーシャルリスニングを実践して、より良いマーケティング戦略に繋げていきましょう。 さらにソーシャルリスニングツールをより多く比較されたい方は、ぜひ下記記事もご参考ください。 参考:おすすめソーシャルリスニングツール35選!特徴・機能・価格などを徹底比較