こうした経費削減に関する悩みを抱えていませんか。 経費削減の本来の目的は、収益を上げることにあります。無駄なコストを省くだけではなく、中長期的な目線で継続的に収益化できるようにするため、業務の効率化の一つとも言えるでしょう。そして、経営者や経理担当者などは、経費削減の目的や効果を理解し、意識して取り組まなければ成果につながりません。 そこでこの記事では、経費削減の目的を果たすために必要な要素をまとめました。経費削減を成功させる3つのポイントや基本的な流れ、経費削減の種類、アイデア事例をご紹介します。 この記事を読むことで、自社にとって最適な経費削減に向けて動き出せます。
経費削減を成功させる3つのポイント
経費削減を成功させるためには、費目別に削減項目を考えることや、従業員のモチベーションに気を配ること、良い事例・悪い事例を知る必要があります。ここでは、経費削減を成功させる3つのポイントを紹介します。
経費削減を成功させる3つのポイント削減項目は「費目別」に考える従業員のモチベーションに気を配る良い経費削減と悪い経費削減を知る経費削減の基本的な流れ経費の仕分けと分析経費削減案の目標と役割の設定経費削減案の実行、そして検証【経費削減の種類は3つ】目的に応じて使い分け効果を高めるすぐに大きな削減効果を求めるならコストカット現場の負担を少なくし継続性を求めるならコストダウン中長期的な会社の利益を求めるなら業務の合理化・効率化を図る業種別に見る経費削減のアイデア・事例集まとめ
削減項目は「費目別」に考える
実際に経費削減をする際、「光熱費を減らそう」「交際費を抑えよう」「通信費を削減しよう」と勘定科目だけを考えても、あまり意味がありません。例えば、通信費ならば、固定電話や携帯、インターネットなど、どの費目が経費を圧迫しているのか「費目」ごとにチェックして、対策を練る必要があります。 つまり、勘定科目だけを確認しても、大まかなカテゴリーになっているため、すぐに経費を削減できるわけではありません。勘定科目とその費目の目安を見てみましょう。 このように費目単位に分けることで、どこのコストを削減すべきなのか把握でき、効率よく経費を削減できるでしょう。
従業員のモチベーションに気を配る
経費削減は、収益を上げるために経営者も取り組むべき課題ですが、現場の人間との温度差があるケースも少なくありません。また、無理矢理押さえつけるような経費削減は、業務の非効率性につながったり、社員のモチベーションを低下させたり、かえって逆効果になる可能性もあります。 経費削減を成功させるためには、必ず従業員のモチベーションに気を配るようにしましょう。経費削減に対して表彰制度などを設ければ、社員のモチベーションを上げられるのみならず、会社全体で経費削減に強い意識を持てます。
良い経費削減と悪い経費削減を知る
経費削減の良い例と悪い例を知っておいても損はありません。良い経費削減と悪い経費削減を知ることで、無駄な時間や労力の削減も目指せるからです。 中長期的な視点で取り組めている経費削減は良い例であり、サービスの品質や社内外の信頼を落としかねない削減は、悪い例です。ここでは、それぞれを詳しく解説します。
【良い例】中長期的な視点で取り組めている
経費削減の本来の目的は収益を上げることにあり、無駄なコストを省くだけではなく、中長期的な目線で継続的に収益化できるような仕組みを作る必要があります。 例えば、ITツールなどを導入することで、ペーパーレス化や人件費削減につながり、経理や業務管理なども、従来より負担を減らせます。経費削減は収益増収のみならず、定期的に見直しすることで、業務効率化につながるでしょう。
【悪い例】サービスの品質や社内外の信頼を落としかねない削減
経費削減を成功させるために、やってはいけない事例はたくさんあります。具体的には、以下のような経費削減です。
サービスの品質を落とす短期的な利益ばかり優先する簡単にリストラを実施する社内外の信頼を落とす
サービスの品質を下げてしまうと、経費を削れるメリットはあるものの、売上低下につながってしまいます。短期的な利益ばかり優先することも、避けてください。例えば、長期的な利益につながる研究・開発費用を削減するようなパフォーマンスがそうです。 リストラを実施して人件費を削ったとしても、人手が足りなくなった場合、新しい人材をすぐに確保できるとは限りません。また、人が減った場合、残った社員1人当たりの仕事量が増え、長時間労働+残業代につながる恐れがあります。 人件費削減だけではなく、教育に関連する経費削減にも、注意しましょう。社員は会社の資産であり、「教育=投資」をしなければ、大きなリターンを得られません。さらに、社員教育を疎かにしてしまうと早期の退職につながり、事業成長につなげられません。 収益を上げるためには、会社の信用を上げることも重要なため、何が影響して自社の信用度を保てるのか分析してから、経費削減に臨むようにしましょう。 参考:インフレ時代を生き抜く 固定費削減のアイデア
経費削減の基本的な流れ
経費削減は、以下の流れで行うことが一般的です。 スムーズに経費削減できるように、基本的な流れと各フローの詳細も把握しておきましょう。
経費の仕分けと分析
最初に、現状の経費を可視化させ、仕分け・分析を行います。必要な経費や削れない経費、固定費・変動費などを仕分けして、削減できる部分がないかどうかを分析しましょう。 業績とは無関係に一定にかかる固定費を少しでも削ることで、中長期的な収益化にもつながります。しっかりと仕分けをして分析すれば、無駄なコストがどこにあるのか明確になります。 すぐにでも削除できる経費は、以下の通りです。
クレジットカード手数料固定電話携帯電話インターネット回線クラウドサーバーパソコン機器複合機・コピー機消耗品什器・備品費名刺タクシー費用電気代
どれもたいていの会社で使われている経費であり、創意工夫によって削除できる部分が少なくありません。
経費削減案の目標と役割の設定
経費の仕分けと分析を終えた後は、目標値を設定します。明確に数値化することで、社員も行動しやすくなるため、目標値の設定を疎かにしてはいけません。 その後、経費削減の目標値や数値を社員に共有します。部署や社員の役割・ルールも明確にしておくことで、経費削減に対する意識を社内に浸透させられるでしょう。
適正な経費率とは
正しい経費削減の目安となるのは、売上総利益高経費率です。売上総利益高経費率は、経費を売上総利益で割ったパーセンテージであり、売上高をベースにした売上高経費率よりも、公平な経費の水準を把握できます。そんな売上総利益高経費率の適正水準は、以下の通りです。
優良水準:80%以下標準水準:90%以下改善の余地あり:100%以下危険水準:100%以上
危険水準の場合は、経費の方が高く経営難の状態になっているため、注意が必要です。
経費削減案の実行、そして検証
経費削減案の目標と役割を設定した後、実行と検証を繰り返します。一定の期間ごとに進捗を確認し、実行したやり方で効果があるのかどうかを検証しながら進めるようにしましょう。 進捗状況をチェックしない場合、本当に経費削減の取り組みが進んでいるのか把握できません。現状の経費削減案で作業が滞ってしまう際は、軌道修正して別のやり方を試してみましょう。
【経費削減の種類は3つ】目的に応じて使い分け効果を高める
「経費削減」と一口に言っても、「コストカット」「コストダウン」「合理化」という3つの種類があり、それぞれを目的に合わせて使い分けることで、高い効果を期待できます。 経費削減の方法は「削る」一択ではありません。「合理化」は、長期的な目線が必要になり、場合によってはもっとも収益を上げることに近づける手法です。 ここでは、それぞれにどのような効果(メリット)と反動(デメリット)があるのか詳しく見ていきましょう。
すぐに大きな削減効果を求めるならコストカット
コストカットは、不要な経費を削ったり、そもそも無くしたりする経費削減の種類です。経費削減の中でもっともわかりやすく、かつ効果が高いと考えられます。大幅な経費削減を見込めるメリットがあるものの、現場の不便を強いるケースがある、というデメリットもあります。 例えば、会社所有のリース社用車を削減した場合、年間数十万の経費削減に貢献できるものの、従業員は乗り合わせを強いられることになり不便が生じてしまいます。 現場の不便を強いると、モチベーションの低下や離職率アップなどにつながるため、すぐに大きな削減効果を求める場合のみ、コストカットを検討しましょう。
現場の負担を少なくし継続性を求めるならコストダウン
コストダウンは、経費を丸ごとなくすのではなく、現在かかっている経費を減らす種類です。効果はコストカットほど大きくないものの、取り組みやすく、また継続できる手法でもあります。仕入れ金額を交渉するなど、コストカットの内容次第では、高い効果も期待できるでしょう。 メリットは、どの費目でもあてはめやすく、継続しやすいことです。一方デメリットは、基本的にはそれほど高い効果を期待できないことです。 コストダウンのわかりやすい例は、オフィス内の電灯をすべて使うのではなく、点灯率を80%に下げる方法などが挙げられます。「現場に大きな負担をかけたくない」「できるだけ長く続けられる経費削減を望んでいる」という場合は、コストダウンがおすすめです。
中長期的な会社の利益を求めるなら業務の合理化・効率化を図る
合理化は、別の方法を取り入れるなどの創意工夫によって経費を削減させる方法です。例えば、ペーパーレス化を推進することで、作業効率を高めながら紙にかかる経費を削減するなどの事例があります。 最近は特に「契約書のペーパーレス化」、つまり「電子契約サービス」が注目されています。「脱ハンコ」などコロナ禍でテレワークを推進するにあたって注目を集めましたが、実は契約書には印紙代、印刷、製本、郵送、関与者の人件費などのコストがかかります。 たとえば電子契約サービスのクラウドサインは、これらのコストを削減することができます。 導入社数14万社超の電子契約サービス「クラウドサイン」 経費削減と業務改善の両方できるメリットがありながらも、難易度の低い手法ではありません。また、実行できる勘定項目や費目も限られてしまいます。すぐに効果を期待せず、中長期的な利益を考えている場合は、業務の合理化・効率化によって経費を削減しましょう。 参考:電子契約とは?メリットデメリット・法律・やり方まで詳しく解説
業種別に見る経費削減のアイデア・事例集
最後に、経費削減に成功した会社のアイデア・事例を業種別に紹介します。 ITツールの導入や作業のロボット化などにより、コスト削減や労働時間減少を実現させています。 経費削減のアイデアはこちらの記事まとめてありますので、参考にご覧ください。 参考:経費削減のアイデア15選と、取り組みの優先順位の決め方
まとめ
経費削減を成功させるためには、削減項目を「費目別」に考え、従業員のモチベーションに気を配り、良い経費削減と悪い経費削減を知ることが重要です。中長期的な視点で取り組めている経費削減は良い例であり、サービスの品質や社内外の信頼を落としかねない削減は、悪い例です。 こうした経費削減は、最初に経費の仕分けと分析を行い、続いて目標と部署・社員の役割を設定し、最後に経費削減案の実行、そして検証する流れです。 また経費削減には、大きな削減効果を望める「コストカット」や継続性の高い「コストダウン」、費削減と業務改善の両方できる「合理化」という3つの種類があり、それぞれを目的に合わせて使い分けることで、高い効果を期待できます。