プラットフォームといってもさまざまな種類があるので、自社の目的とプラットフォームの特徴をしっかりとすり合わせて選ぶ必要があります。 今回は自社に適したオープンイノベーションプラットフォームの選び方と、おすすめのプラットフォームを7つに厳選してご紹介しています。
オープンイノベーションプラットフォームの選び方
オープンイノベーションプラットフォームを選ぶ際に注目したいポイントは「特色」と「登録社数」の2点です。自社の目的に沿ったプラットフォームを選ぶには「特色」を把握することがマッチングの精度を上げるために重要で、登録社数が多いほど信頼性が高くなるためです。
オープンイノベーションプラットフォームの選び方プラットフォームの特色から選ぶ登録会社数から選ぶおすすめのオープンイノベーションプラットフォーム7選海外企業とのつながりに特化したプラットフォーム国内の大手・ベンチャー企業とのつながりに特化したプラットフォーム研究者・技術者とのつながりに特化プラットフォーム国内のオープンイノベーション推進事例2選1.積水化学:ゴミを資源化する技術を実現化した事例2.森永製菓:アクセラレータープログラムを通じてネットワークを構築した事例まとめ:オープンイノベーションプラットフォームは特徴別で使い分けよう
プラットフォームの特色から選ぶ
プラットフォームとは、サービスや資源を動かす土台となる環境を意味します。オープンイノベーションプラットフォームを目的に応じて選ぶことで、新規事業がより伸びやすい環境を作り出せるでしょう。
海外企業とのつながりに特化
海外から技術や経営資源の導入を検討する場合、立ちはだかるのが言語や文化の壁です。ここをスムーズにしてくれるプラットフォームなら、商品・サービスの新規開発に集中して取り組むことが可能です。 また、海外向けにマーケティングを行いたい場合、商品を現地に合わせてローカライズする・テストマーケティングをする場合にも向いているプラットフォームといえるでしょう。
国内の大手・ベンチャー企業とのつながりに特化
新規事業の開拓が国内向けであれば、国内に広くノウハウを持つ企業を探した方が効率的です。 マッチングサービスで求める技術やノウハウを持つ国内企業への連絡をサポートしてくれます。また国内企業だからこそ、登録している企業同士を招いたイベントも開催されやすく、リアルな情報が得られるのもメリットです。
研究者・技術者とのつながりに特化
技術的な課題を解決したい場合、研究者や技術者とのつながりに特化しているプラットフォームなら、本当に欲しい情報を持つ人材と巡り合えます。中には独自のマッチングシステムを備えているプラットフォームもあるため、問題解決がスピーディーです。 また新規事業の場面ごとにおいて、必要な専門技術をもつ研究者に問い合わせられるのもメリットです。
登録会社数から選ぶ
オープンイノベーションでは、多くの企業や技術者・研究者の中から、自社に必要な連携先を探し出すことが1つの課題となります。しかしオープンイノベーションプラットフォームに登録している会社数がもともと少なければ、それだけ連携先を見つけるのが難しくなります。 さまざまな企業、研究者・技術者との可能性を探るためにも、登録会社数が多いオープンイノベーションプラットフォームを選ぶことはメリットが大きいでしょう。
おすすめのオープンイノベーションプラットフォーム7選
オープンイノベーションの加速に貢献してくれるプラットフォームを7つ厳選して紹介します。前述した選び方に沿っていて、かつ顧客数が多いものを、登録者・登録社数順に紹介します。
海外企業とのつながりに特化したプラットフォーム
グローバルなビジネスを目指して海外進出を企てる企業や、海外に部品や製品を受発注したい企業とを繋げることに特化したオープンイノベーションプラットフォームを選びましょう。
1.agorize Japan:海外企業とのつながりに特化
世界で500万人以上のイノベイターとさまざまなアイデアや技術を求めている企業を繋げるagorize Japanは、海外企業との繋がりに特化したプラットフォームです。海外向けの商品開発やテストマーケティングなど、あらゆる経営課題の解決が期待できます。 世界規模のイノベーターネットワークを提供する、Agorizeの日本支部です。200社以上の国際的な企業に向けて、さまざまなオープンイノベーションチャレンジをサポートしてきた実績があります。 海外との連携を強化したい、海外へ市場を作り出したいといった新規事業を立ち上げたい方に向いているオープンイノベーションプラットフォームです。
国内の大手・ベンチャー企業とのつながりに特化したプラットフォーム
スタートアップ企業はリーマンショック直後に比べると数は増えており、今後も増えることが予想されています。スタートアップ企業は資金調達に課題を抱えているケースも多いため、スタートアップ企業とそれをサポートしたい企業を繋げるプラットフォームの活用がおすすめです。
2.eiicon:国内最大級の規模を誇る
eiiconは、価値ある未来を目指したパートナーとの出会いをサポートする日本最大級のプラットフォームです。国内の大手企業やベンチャー企業との繋がりに特化しており、登録社数は6,000社を超え、5,000件以上のマッチングを実現しています。 日本全国各地のさまざまな業界におけるオープンイノベーションの提携パートナーを、無料で検索できるサービスを展開するビジネスマッチングプラットフォームです。 またネット上のマッチングシステムだけでなく、実際にイベントを開催するなど、リアルのマッチング支援も実施しているため、自社のPRをしつつ提携パートナーを見つけたい方におすすめです。
3.Linkers:ものづくり・製造系のマッチングに特化
実効性のある社会貢献を目指すLinkersでは、代表取締役が将来を支える新技術や新たなビジネスモデルの提案によって日本のビジネスに活力を与えた企業に贈られる日本イノベーター大賞の優秀賞を受賞しています。 Web展示会システム「eEXPO」を運営する、ものづくりに特化したマッチングプラットフォームです。リンカーズ株式会社が運営会社です。全国500カ所以上の産業支援機関との連携があり、機密情報の保護にも力を入れています。 独自のマッチングシステムがあり、依頼を受けた企業の機密情報を保ったまま、全国各地の受注候補者を網羅的に検索してもらえます。探索開始から1.5~2か月前後で納得したパートナーを見つけられるため、スピーディーに提携パートナーを見つけたい方におすすめです。
4.creww:スタートアップ支援に力を入れている
Crewwは、新たなビジネスモデルを開発するスタートアップ企業への支援をサポートするプラットフォームです。関連サービスとして、イノベーター人材に特化した転職支援サービスやスタートアップ企業がチャレンジできるコワーキングスペースを提供しています。 スタートアップ企業と大手企業を結び付けることで、新規事業創出を目指すオープンイノベーションプログラム「crewwコラボ」を提供しています。オンライン上でやり取りが完結するため、迅速な連携先発掘に繋がることも強みです。 大手企業側はリソースの提供によるリスクとコストの軽減、短期間での新規事業創出への足掛かりづくりを目指せます。そのため、さまざまな経営資源を活用して自社の急成長を目指したい方におすすめです。
研究者・技術者とのつながりに特化プラットフォーム
諸外国に比べると日本は研究開発分野への補助金は少なく、思うように活躍できていない研究者や技術者もいるのが現状です。優れた研究者や技術者を見つけるためには、研究者や技術者との繋がりに特化したプラットフォームを活用してみましょう。
5.PLANET AIDeA(旧TEC-PAL):研究者・技術者とのつながりに特化
新たな技術を開発するためには優秀な研究者や技術者だけでなく、技術課題をサポートする仕組みが求められます。PLANET AIDeAは研究者や技術者との繋がりに特化したプラットフォームで、新技術の開発から社会実装を超えるマッチングを目指しています。 個人から企業、政府研究機関など広い範囲でマッチングを行える、オープンイノベーションプラットフォームです。抱えている技術問題を解決できる可能性があるニッチな技術を、AIが自動的にナビゲート、マッチングするほか、基本機能は全て無料で使えます。 このプラットフォームは、研究者や技術者の所属形態に関わらず、事業に参加できる優秀な人材を見つけたい方におすすめです。
6.Open Idea:10,000人のプロフェッショナルが揃う
新事業の立ち上げには、社内アイデアだけでは不十分なケースも考えられます。PLANET AIDeAではさまざまな分野の専門家10,000人以上からアイデアを募ることで、新規事業の実現をサポートしてくれます。 オープンイノベーションに必要なコンセプト設計から、最終的な事業立ち上げまで、新規事業の各ステップに置いて必要な専門家を、個人単位で活用できるサービスです。 20~40代のベンチャー企業経営者や事業会社出身者、50代以上のプロ経営者層やエグゼクティブ、技術者など、多くのプロフェッショナルが在籍しています。企業同士ではないからこそ、自社のリードを保ったまま事業が進められるのが強みであることから、幅広い分野のアイデアを募りたい方におすすめのプラットフォームです。
7.NINE SIGMA:多くのジャンルに精通したスペシャリストが揃う
登録社数800社以上を誇るNINE SIGMAは、新製品の創出やビジネスモデルの構築にはオープンイノベーションが必要不可欠だと考えています。このことからグローバルなオープンイノベーションを加速させ、企業が抱える技術課題などをサポートしています。 オープンイノベーションを支援するサービスを2000年より開始している企業で、サービス内容も課題別に多岐に渡るのが特徴です。 たとえば革新的なアイディアやヒントを広く探すコンテスト、足りない技術を探すテクノロジーサーチ、スタートアップ企業との連携を見つけるリアルテックピッチなどがあります。 課題が明確でない場合に使える無料コンサルテーションも備えられ、解決に近いサービスを探し出したい方におすすめのプラットフォームです。
国内のオープンイノベーション推進事例2選
オープンイノベーションの成功とはどのようなものか、経済産業が推進事例として発表している事例を2つ紹介します。
1.積水化学:ゴミを資源化する技術を実現化した事例
ビジネスモデルファースト戦略という考え方を打ち出し、「圧倒的に勝ち切るストーリー」から既存事業と一線を画した大型新規事業創出を目指したことで成功したのが積水化学の事例です。 企画や開発を進めるうえで常に競争優位を重要視し、良いコンセプトであっても競争優位がなければ開発に進めません。そのためコンセプトやビジネスモデルを形にするのに非常に多くの時間が必要ですが、それに対して経営側の理解も深いのが特徴です。 こうした徹底的なコンセプトの作りこみにより、産業技術総合研究所と共同研究した「設置場所に制限のない太陽電池」である「フィルム型色素増感太陽電池 (DSC)」 や海外スタートアップであるLanzaTech社との提携による「ゴミをエタノールに変換する世界初の革新的生産技術の確立」に成功しています。 参考:オープンイノベーション白書(第二版)
2.森永製菓:アクセラレータープログラムを通じてネットワークを構築した事例
森永製菓は既存商品の延長線上ではなく、新たな商品やサービスの開発を目指し、食品メーカーとして初めて、アクセラレータープログラム「Morinaga Accelerator」を開始しました。 このプログラムでは、森永製菓と起業家やベンチャー企業が、不足するリソースをお互いに補完することで、オープンイノベーションを起こすことを目的としています。またベンチャー企業に対し社員を1年間派遣することで、企業間の協業・連携を進められる手法を身につけた社員を育てる仕組みも併用されています。 こうした取り組みにより、森永製菓の社内イノベーションプロセスも変化が起こり、「やりたければ自ら全工程を自分で行っても良い」という制度がつくられました。 結果、研究所員が作り上げた商品が、日本百貨店などの小売店で販売された実績などが生まれています。 参考:オープンイノベーション白書(第二版)
まとめ:オープンイノベーションプラットフォームは特徴別で使い分けよう
自社内に限らず、さまざまな産業と協力し合うことが一般的になりつつある現代ですが、アイディアだけでは新規事業は成り立ちません。経営資源や技術力が伴わないと、消費者の心をつかむサービス・商品につながらないからです。 新規事業の規模や内容に合わせて、特徴別にプラットフォームを使い分け、オープンイノベーションの成功につながる土台作りが大切です。 そのためには、実際に行動を起こしてみることが一番大切です。まずは求めるサービスや商品に合うプラットフォームに登録し、事業の成功のためにアクションを起こしてみましょう。 当サイトLISKULでは「BtoBマーケティング」のポイントを複数の記事で説明しています。(全体概要を把握したい方は「まとめ記事」がおすすめ)