ウェブはクリックして自ら情報を取りに行く能動的で目的意識の強いメディアであるため、ユーザは「見たいものしか見えない」という傾向があります。 だからこそ、誰がどういう状況・目的でウェブを使っているか、というターゲット戦略がキモになるのです。 本記事では、検討ステップと簡易ペルソナを整理してターゲット戦略を固めるまでの手順をお伝えします。 ウェブマーケティングの基本である「リスティング広告(検索キーワード広告)」を題材にしながら、出来る限り具体的にわかりやすく、ご説明いたします。 ※本記事は無料Ebook「リスティング広告スタートアップガイド」より、一部抜粋し再構成した記事です。
検討ステップと簡易ペルソナでユーザ像を明確にする
ユーザ像を明確にする手法は様々ありますが、本記事では検討ステップを整理・考察することを通じて、「簡易ペルソナ」を作ることをゴールとします。※簡易ペルソナの具体的なアウトプットイメージは次の段落で紹介します。
検討ステップと簡易ペルソナでユーザ像を明確にするアウトプットイメージ:簡易ペルソナ【ステップ1】まずは現状整理。想定しているユーザ像を書き出す。【ステップ2】検討ステップの整理日常生活関心あり情報収集比較検討・意欲醸成商品・サービスの検討ステップと相性のよい手法【ステップ3】典型的なキーワードの設定具体例:検討ステップと典型的なキーワードの設定【ステップ4】簡易ペルソナの定義まとめ:「誰に売るか?」を明確にしよう!
まずは、簡易ペルソナを作るステップを紹介しますので、全体像を把握してください。
アウトプットイメージ:簡易ペルソナ
実際に、簡易ペルソナを作成する前に、アウトプットイメージを見ておきましょう。どんなものを作るのかイメージを持つことで、この後のステップをスムーズに進められるようになります。 以下は「ダイエット雑炊」を例に作成した簡易ペルソナの例です。
では、こちらのような「簡易ペルソナ」を作ることをゴールにステップに沿って進めていきましょう。
【ステップ1】まずは現状整理。想定しているユーザ像を書き出す。
まずは、想定しているユーザ像を書き出します。フレームワークに沿って、出来る限り具体的に書き出してください。これは「初期仮説」に過ぎず、この後のステップでブラッシュアップしていきますので、ラフでよいので手早く書き出すことが重要です。 マーケティング上設定しているペルソナなどがあれば、それをベースにしてください。 できれば、複数名でブレストしながら「自社商品のターゲットになるユーザは、こんな人だよね」という典型的な人物像について理解を合わせて行ってください。 以下が現状整理のためのフレームワークです。ビジネスに応じて柔軟に変更しながら、活用してください。とにかく関係者間でユーザのイメージについて合意することが重要です。
【ステップ2】検討ステップの整理
次に検討ステップを整理します。検討ステップとは、商品やサービスの申し込みに至る経緯をモデル化したものです。 ここでは、見込顧客が、どういうステップで商品やサービスを検討するのかを整理した上で、どの段階にいるユーザに対して接点をつくりコミュニケーションしていくのかを考えます。
日常生活
特に商品・サービスに関心・興味を持っていない状態です。対象となる母数は圧倒的に大きいものの、意欲は非常に低い状態のため、関心を持ってもらうには、気持ちを動かす大きなきっかけが必要な段階です。
関心あり
商品・サービスに関心・興味をそれなりに持っている状態です。アンテナが立っているので、関連情報には積極的に反応する傾向にありますが、能動的な情報収集に至っていない状態です。
情報収集
行動を起こすためのなんらかの「きっかけ」があり、能動的な行動を開始した段階です。具体的には検索をしたり、家族や友人、詳しい知人に話を聞くなどの行動が見られます。
比較検討・意欲醸成
比較検討は、申し込むことを前提に、どの商品・サービスが良いか比較検討している段階です。特に比較対象がなく、申し込むかどうか迷っている状態は意欲醸成です。申し込みまであとひと押しですが、対象となる母数はごく少数です。
商品・サービスの検討ステップと相性のよい手法
リスティング広告の中でも、特に検索連動型広告と相性が良いのは「きっかけ」の後のステップです ユーザに何らかのきっかけがあり、能動的な検索行動に移ったタイミングが検索連動型広告が最も効果を発揮できる場です。 きっかけ発生前に接点をとる事が圧倒的に重要な商材については、検索連動型広告よりも、コンテンツ向け広告を中心にプランを考える必要があります。 きっかけ前、きっかけ後、両方狙える場合は、一旦意欲の高いきっかけの後にいるユーザにターゲットを絞って、この後のプロセスを進めます
【ステップ3】典型的なキーワードの設定
検討ステップのどの段階にいるユーザをターゲットにするかを決めたら、そのユーザが検索するであろう典型的なキーワードを考えます。 数多くのキーワードが想定されますが、その中でも最も典型的なキーワードを設定することで、個別具体的な場面を想起しやすくします。 また、そのキーワードがよく検索されているのか、本当に典型的なキーワードなのか、について、Google Adwordsのキーワードプランナーを使ってチェックしていきます、具体的なチェック方法について例を交えながら説明していきます。 参考:【徹底図解】2014年版キーワードプランナー使い倒し術 →キーワードプランナーについて、基本的な使い方まで図解を交えて具体的に解説してあります。
具体例:検討ステップと典型的なキーワードの設定
ダイエット雑炊を具体例に、検討ステップを設定し、キーワードプランナーを使う様子を示します。
まず、検討ステップを想像します。きっかけの前が重要か、きっかけの後が重要か?を判断します。ダイエット雑炊の場合、きっかけの前にアプローチしていくことも、きっかけの後にアプローチしていくことも出来そうです。 次に、キーワードプランナーで検索ボリュームを確認していきます。業種にもよりますが、300以上あれば、最低限のニーズはありそう、1000以上あれば、十分にニーズがある、10,000を超えてくると、様々なニーズも入り混じってくる、かなりのBigワードというのが概ねの感覚です。
「雑炊ダイエット」は検索数が1,600と一定水準にあるものの、それ以外の掛けあわせキーワードは300未満のものが多いため、今回は検討ステップでは「情報収集」の段階にある「雑炊ダイエット」を典型的なキーワードとして想定します。 きっかけの前にいる「ダイエットに関心あり」の状況にいるユーザにアプローチすることも有効です しかし、競合ひしめくダイエット手法の中で、雑炊ダイエットの有効性を示すというコミュニケーションを設計するのは難易度が高いため、まずは情報収集段階のユーザを攻略することを優先します。 また、情報収集をひと通り終えた「比較検討段階」「意欲醸成段階」にいるユーザも、もちろん優先すべき状況ではありますが、キーワードプランナーにおける検索数を考えると、パイがかなり小さいため、手前の情報収集段階を優先する、このような思考プロセスで、検討ステップ上のターゲット状況と典型的なキーワードを決めていきます。 典型的なキーワードが定まったら、その検索に至る経緯や心理状態を詳細に書き出していきます。
【ステップ4】簡易ペルソナの定義
ここまでのプロセスを1枚のシートにまとめたものが簡易ペルソナです。
最後に全体を通じて違和感がある箇所を調整し、完成させます。大事なことは、しっかりとシートに落とし込み、関係者間で共有することです。 可視化できていないことで、場面に応じて自分にとって都合の良いユーザが想定され、ユーザ像が変化してしまい効果につながらない時に原因も特定できない、という悪循環に陥っていきます。
まとめ:「誰に売るか?」を明確にしよう!
ここまでのプロセスを通じて、リスティング広告を題材にして誰に売るかのターゲットを明確にするという作業をしてきました。 「なんとなく」売るのではなく、「この人が、このような状況で検索してきた時に」売るというターゲット像が明確になっていることで、コミュニケーションの方向性が明確になり、成果につながる作戦が立てやすくなります。 ぜひ、具体的な「簡易ペルソナ」を作成してから、次のステップに進んでください。 なお、無料Ebook「リスティング広告スタートアップガイド」では、この前後のステップも含め、リスティング広告やウェブマーケティングを成功させるためのノウハウをまとめてありますので、ぜひダウンロードしてご覧ください。