一部の社内業務を自動化すると社員の負担やヒューマンエラーの減少、重要な業務に注力する時間や人員の増加、といった効果が見込めます。 自動化すべき業務を見極める3つの視点 しかし、業務を効率化したいとは思っていてもどの業務から自動化すべきかわからず、自動化の導入に踏み切れていない方も多いのではないでしょうか。 業務自動化の方法には複数ありますが、なかでもRPAはPC上で行える単純作業の自動化に適しており、適用範囲が広いのが特徴で、導入のためにプログラミング言語を習得する必要もありません。 業務自動化のハードルが低く適用範囲が広いため、RPAが適している業務が多く見受けられます。 参考:RPAとは?いまさら聞けないRPAの仕組みと、3つの導入メリット 本記事では、業務を効率化する手法のひとつ「自動化」について、業務自動化の方法や導入の際に注意したいポイントなどを解説します。 業務自動化に取り組んだことがない方でもわかるように解説しますので、ご安心ください。 RPAに強い人材を育てるエンジニア研修サービスとは?
業務自動化の方法
業務自動化する方法として、RPA・マクロ・AIの3つが挙げられます。
業務自動化の方法RPAマクロAI【部門別】自動化できる業務の種類業務自動化を成功させるために押さえるべき5つのポイント自動化で達成すべき目標を定める自動化の対象を定型業務に絞る自動化の前に、全業務をあらかじめスリム化しておく現場に導入する目的・メリットを周知する効果を測定し成果を把握する業務自動化を進める際の流れ自動化の対象となる業務をリストアップする利用したい自動化ツールを選ぶ最低限の環境で試行する自動化による効果・課題を洗い出す効果があれば本格的に導入する問題発生時における方針を決める業務自動化をする際に注意すべき2つの点軽率な独自開発はNG適切な教育や人員配置をしなければいけないまとめ
それぞれの概要とメリット・デメリット、適切な活用例について紹介していきます。
RPA
RPA(Robotic Process Automation)とは、定型化できるパソコン業務をツールで置き換える仕組みです。 RPAは、人間が指示・手順を決めた動作と同じ動きをしてくれます。そのため、RPAは作業手順が定められたフロント・バックオフィス作業に向いています。 標準化されたルール通りにミスなく正確に作業できるため、人的ミスを大幅に減らしたり、作業の効率化を目指すことができます。 例えば、インターネット上の情報収集を自動化すると、人手での情報収集の手間が減らせます。 また、キャンペーンや広告の特定顧客への自動送信すると広告発送にかかる手間や人件費の削減につながります。 顧客も欲しい時に欲しいタイミングで情報を得ることが可能になるでしょう。 さらに、システム間のデータ連携などにも利用できます。 これにより、複数のシステムが自動連携できるため利便性が高まります。 一方で、RPAはAIのように学習能力がなく、フォーマットが固定化されていなければエラーが起きて動作が停止してしまいます。 そのため、アクシデントやイレギュラーな処理が多い業務や、感覚的な判断を伴う業務には対応することができません。 例えばRPAツール「Robo-Pat」であれば、作業時間を24,000時間削減するなど業務効率化に貢献してくれます。 気になる方は、以下リンクから資料をダウンロード(無料)してみてください。 参考:「Robo-Pat」サービス概要資料 参考:【2022年最新】RPAツール比較17選!プロが教える絶対に失敗しない選び方
マクロ
マクロとは、主にOffice製品に搭載されており、Excelの作業内容の自動化や複雑な手順の作業を自動化できる機能です。 マクロを利用すると、これまで、手作業で入力していたExcelなどの業務を自動化できます。 このマクロを書くためのプログラム言語がVBAです。 ただし、簡単な操作に限定した場合は「マクロ機能」という機能を利用すると、VBAを知らなくてもマクロを作成できる点がメリットです。 例えば、Excelで請求書を作成している場合、マクロを利用すると時間短縮が可能です。 データ集計やデータチェックも、ボタン一つで簡単に作成できるようになります。 しかし、Office製品以外とのツールの相互連携はできません。 また、RPAを用いればVBAなどのプログラム言語を知らなくても、自動化が可能になります。 自社内にVBAに詳しい人がいて、できるだけコストをかけずにOffice製品を自動化したいという場合はマクロが適しているといえます。 参考:業務効率化の8つの方法と、今すぐに始めるべきアイデア8選
AI
AI(Artificial Intelligence)とは人工知能を意味し、データに戻づき判断や作業の振り分けのできる機能を指します。 RPAと違って自己学習機能を備えており、蓄積されたデータを分析することで、次のアクションをAI自身で判断することができます。 例えば、インターネットの予測変換やカメラアプリなどにはAIが活用されています。 インターネットの買い物時に「おすすめ商品」が提示されるのも人工知能の機能の1つです。 参考:AI導入で期待できることとは?業務拡大や改善に効果的なAIの導入方法 デメリットとして、AIの開発難易度が高い点が挙げられます。 さらに、AIで画像認識を行う場合、サンプルとなる画像が45万件必要となるなど、必要なデータ量が膨大となる点もデメリットです。 AIは人材不足の分野をはじめ、ビッグデータを活用した将来の需要予測などビジネスにおいて多様な場面で利用できます。 リスクを念頭に置きつつ、自社での活用方法を検討しましょう。
【部門別】自動化できる業務の種類
データ化された業務、ルールの定められた業務、単純な繰り返し業務などが自動化に適しています。一方、デジタル化できない業務や人の判断が必要となる業務は自動化が困難です。 ここでは、自動化できる業務とは具体的にどのようなものがあるのか、部門別に業務の一例を見ていきましょう。 参考:RPAで自動化できる業務とは?事例から考える自動化に適した業務の特徴 | Valmore 受注から財務会計までを一元管理するなら「キャムマックス」
業務自動化を成功させるために押さえるべき5つのポイント
業務自動化を成功させるには「業務を限定する」「メリットを周知する」をはじめ、押さえるべきポイントがあります。 全業務の自動化ができるわけではないため、自動化に取り組む前に、以下のポイントを把握しておきましょう。
定型業務に絞る全業務をあらかじめスリム化しておく現場に導入する目的・メリットを周知する達成すべき目標を定める自動化がもたらす実際の効果を測定する
自動化で達成すべき目標を定める
業務自動化に先駆け、部門ごと・業務ごとに事前に部門ごと・業務ごとに「短縮すべき時間」「人件費削減」「コスト削減」をはじめとした「達成すべき目標」を具体的に定めましょう。 なぜなら、やみくもに業務自動化を導入しても、費用対効果の計測は困難だからです。 目標を定めた後に業務自動化を行うことで、目標に対してどれだけ成果をあげられたのかがわかります。
自動化の対象を定型業務に絞る
社内の業務を細かく分析し、業務自動化をすすめる作業はある程度パターンが固定されている定型業務に絞りましょう。 業務自動化に適しているのはデジタル化され、一定のルールに基づいて動作し、何度も繰り返される業務です。 RPAはプログラムに組み込まれた業務を繰り返し実行するのに適しています。 たとえば、請求書や経費処理、伝票処理やデータ抽出作業などが自動化に向いているといえます。 特に初めての自動化の場合時間がかかることは少なくありません。定型業務の中でも特に、次のものをリストアップするとよいでしょう。
マニュアル化しやすい業務定期的に発生する業務外注可能な業務
もし自動化すべき業務を見極められないという方は、下記資料を参考にしてみてください。 参考:自動化すべき業務を見極める3つの視点
自動化の前に、全業務をあらかじめスリム化しておく
業務自動化をする前に、その業務にムダがないか洗い出し、排除をしておきましょう。 ムダな作業が含まれている状態で自動化しようとした場合、無駄が多い冗長なツールになってしまいます。 たとえば、バックアップデータを取る作業自体が本来取り除ける業務であるはずなのに、その部分も自動化してしまえば無駄にコストがかかってしまいます。 参考:RPA導入で業務効率化を成功させるために重要なポイントとは | WORK-PJ 自動化をする前に、全業務を洗い出して、必要のない業務は排除するなどスリム化を行いましょう。 仮に業務自動化ができないものでも、業務効率が向上します。
現場に導入する目的・メリットを周知する
スムーズに導入するには、現場に導入する目的やメリットの周知が欠かせません。 業務自動化を実施すると、担当者にとっては、これまでとは違う新しい作業を強いられます。 そのため、かえって手間が増え担当者に定着しないことや工数が増え逆に非効率になることも考えられます。 このような事態を回避するためには、以下の点に気を付けましょう。
自動化前に現場に導入目的やメリットを周知する社員に新たな業務を教えるための教育や指導時間を確保するマニュアルを作成する
効果を測定し成果を把握する
業務自動化の成果を知るには、実際の効果を測定しなければなりません。 業務自動化導入により得られる効果は大きく分けて二つあります。
定量的効果:時間短縮・人員削減・コスト削減など定性的効果:ミス削減・顧客満足度向上・生産性の向上・社員のストレス軽減など
このうち「定性的効果」は客観的に推しはかることが困難ですが、「定量的効果」は客観的に計測できます。 そのため、業務自動化の成果を把握するためには「定量的効果」を測定し、導入前と比較することが欠かせません。 業務効率化の効果がどれほどなのか客観的に知るためには、導入前と導入後の部門・業務ごとの作業時間がどれぐらい変わったか比較しましょう。 また、人件費の削減成果を知りたい場合は、上記の各作業時間に担当者の時給をかけて算出しましょう。 例えば、時給2,000円の担当者1名の作業時間が一か月で10時間削減できた場合、2万円の効果が得られたといえます。 自動化後の業務時間を測定し費用対効果を把握すると、導入継続の可否を含めた今後の動きを決定できます。 参考:業務の自動化・効率化はなぜ進まない!? 見える化から始める業務自動化・効率化の勘所|統合システム運用管理 JP1:日立
業務自動化を進める際の流れ
業務自動化を導入するためには、決まった流れがあります。ここでは、自動化を進めるための具体的な流れについてみていきます。
自動化の対象となる業務をリストアップする
社内の業務を部署ごとに細かく洗い出したうえで、自動化の対象となる業務をリストアップしていきます。 自動化に適しているのは次の3つの条件を備えたものです。
データ化しているルールが定められている単純な繰り返し業務
例えば、ルールに基づいて行う単純な繰り返し作業でありながら、ヒューマンエラーを引き起こしがちな業務があれば、自動化の対象に選びましょう。 なお、ルールに基づかず、人間の判断が必要な作業や、繰り返し作業とはいえない複雑な作業は自動化の対象とはなりません。 参考:自動化すべき業務を見極める3つの視点
利用したい自動化ツールを選ぶ
最初に説明したように、業務を自動化するためにはRPA・マクロ・AIなどがあるため、どのツールを使用すればいいか考えて選定しましょう。 それぞれ適用できる業務の範囲や導入にかかるコスト、必要な技術が異なるため、業務自動化の目的や予算と照らし合わせて、どのツールがいいか選びましょう。
最低限の環境で試行する
自動化が適切かどうかは実際にやってみないとわからないため、まずは、「データ集計の効率化ツール」の導入、「社内問い合わせ対応システム」の自動化、「会計ソフト」の導入など、必要最低限の環境で試行してみましょう。 初めて社内で業務自動化を導入する際は、一気にすべての業務を変えない方が安全です。 社員が作業内容の大幅な変化に戸惑い、思ったように効果を発揮しない場合もあります。 そのため、最初は業務を細かく分け、「経理業務の中の経費精算システムだけ」「人事業務の中の報告書作成業務だけ」といった具合に、最低限の環境でスモールスタートしてみましょう。
自動化による効果・課題を洗い出す
最低限の環境での自動化を導入した後は、必ず効果や課題を洗い出しましょう。 社員は慣れない作業を行うため、最初のうちは余計に手がかかる場合も少なくありません。 「自動化システム導入前より工数が増えた」「費用対効果が合わない」と感じる場合もあるでしょう。 その場合は、他システムの導入や、ベンダーへの相談、アウトソーシングの利用を検討してみましょう。 自動化の導入だけで満足せず、効果を実証しなければ現場に根付かないため注意が必要です。
効果があれば本格的に導入する
実際に自動化を導入し、社員の利便性や満足度の向上が証明できた後、本格的な導入に取り組みましょう。 システムだけ導入しても、すぐに現場でうまく扱うのはなかなか困難です。 丁寧に、必要な環境の準備、ツールのインストール、社内説明などを行ったうえで本格的な導入へと進みます。
問題発生時における方針を決める
設定した環境を維持するためには、問題発生時の方針を決めておきましょう。 業務自動化において、以下のような問題発生の可能性が考えられます。
誤作動が起きる使用不可時に業務が停止するリスク情報漏洩誤作動・誤処理を認知できない業務のブラックボックス化
このような問題に備え、業務を自動化するにおいて困ったことやイレギュラーな事態が生じた場合、すぐにセキュリティ部門に相談するなどのルールを決めておきましょう。
業務自動化をする際に注意すべき2つの点
業務自動化をスムーズに進めるためには、注意すべき点がいくつかあります。詳しく見ていきましょう。
軽率な独自開発はNG適切な教育や人員配置をしなければいけない
軽率な独自開発はNG
自動化にコストをかけたくない場合は独自開発を検討することもありますが、軽率な独自開発は好ましくありません。 自社開発を行うとメンテナンスが困難になる、全社的な規模の自動化には耐えられなくなる、といったリスクが発生する点は把握しておきましょう。 また、独自開発をする場合はプログラミングやIT化などの専門知識を有したエンジニアが不可欠です。 現状専門知識を有した人がいない場合は新たに雇用しなければなりません。 また、1人のエンジニアに任せるなど属人的になってしまうと、その人が辞めた場合に引継ぎがうまくいかないこともあります。 自動化導入の際は、コストだけに気を取られることなく、社外委託も含め、広い目で見て検討しましょう。 参考:RPAは社内で開発可能?メリット・デメリットや開発手順、ポイントを解説!|RoboTANGO
適切な教育や人員配置をしなければいけない
自動化の導入にあたり、適切な教育や人員配置は欠かせません。 多くの場合、自動化ツールの導入・運用のためには、そのツールに精通した人材が必要です。 導入支援サービスに依頼する場合は、基本的にプログラミングの専門知識がなくても導入・運用することができます。 ただし、社外委託をする場合でも、社内でのメンテナンスや緊急対応が求められることも少なくありません。 参考:RPAツールを導入する際に押さえたい!基礎知識とプロセスを徹底解説|RoboTANGO 社内にプログラミング知識がある人が一人もいないと、エラーが起きてから修正対応してもらえるまでの間に自動化が停止してしまい、業務に支障が出る可能性があります。 急なトラブルが生じた場合、社内でも対応できるよう、中長期的な視点で人材戦略を検討しましょう。 参考:DX時代に求められるデジタル人材とその採用・育成のポイント
まとめ
ヒューマンエラーを防止し、作業効率をあげるためには業務自動化が欠かせません。 業務自動化に適した業務は次の3つを備えたものです。
データ化しているルールが定められている単純な繰り返し業務
部署ごとに業務を洗い出し、どの業務が自動化に適切かリストアップします。 ただし、現場の社員にとっては新たな作業となるため戸惑うことも少なくありません。 現場の社員が困った場合にすぐに意見が言えるよう、環境整備をしておきましょう。 業務自動化には、AI、RPA、マクロなどの導入を検討します。 導入の際は機能面だけでなく、費用や工数などさまざまな観点での検討が欠かせません。 導入後は効果を測定し、課題があれば都度の洗い出しが必要です。 また、業務の自動化にあたり情報漏洩のリスクが増す点を把握しておきましょう。 ウイルスソフトの導入や社員へのセキュリティ教育が必要になります。 自社に最適な業務自動化ツールを導入し、作業の効率化につなげましょう。 RPA部門No.1※!業務効率化できるRPAツール» ※BOXIL SaaS AWARD 2022 BPO/コンサル/RPA部門